【販路開拓塾】
第12回<展示会・商談会 準備編>
『永瀬式SGS商談管理シート』で成約を勝ち取る!

2025.4.2

展示会や商談会が終わったら会場の撤収作業を行い、会社に戻って商品や機材を片付けたら、ほっと一息 “あぁ、やっと終わった!” 。でも、これだと展示会・商談会に出展することが目的になっていませんか?
というのも、成果を獲得している生産者(メーカー)は商談後のフォローアップをするために、展示会や商談会に出展・参加しているのです。この目的意識の違いが、商談後のフォローアップで大きな差を生むことになります。
【販路開拓塾】最終回では、実践的なフォローアップの方法について説明します。

理想の旗(イメージ)を、山の頂上に立てよう!

展示会や商談会で“このバイヤーさんと取引したい! 必ず成約させたい!”という意中のバイヤーさんと出会ったら、“こんなお取引をしたい”という理想のイメージを具体化して、その理想を掲げてみましょう。
分かりやすく例えるなら、登りたい山の頂上に理想の旗を立てるのです。

というのも皆さん日常業務で忙しいので、“原料が入ってこない” “従業員が休んだ” “取引先からクレームが来た” 等の出来事があると、ついつい足もとを見て歩くため、図の左側の人のように、思いも寄らぬ方向に進んでしまいます。
一方、図の右側の人のように山の頂上に “こんなお取引をしたい” という理想の旗を掲げていれば、左側の人のように足場が悪くても(悪い出来事があっても)、必ず山の頂上に到達できます。皆さんには“こんなお取引をしたい”という理想の旗(理想のイメージ)を、山の頂上に立てて欲しいのです。

商談終了後にSTARTとGOALを設定し、STEPを踏んでフォローアップ

■『永瀬式SGS商談管理シート』で成功体験を積み上げよう!

この理想の旗を立てるためにおすすめしているのが、皆さんの商談がひとつでも多く成約できるよう作成した以下『永瀬式SGS商談管理シート』です。 ちなみにSGSの最初のSは“START(スタート)”、Gは“GOAL(ゴール)”、最後のSは“STEP(ステップ)”です。

『永瀬式SGS商談管理シート』(PDFダウンロード)

商談が終わったら、まずSTART(はじめの一歩)欄に、商談名・提案商品・取引可能性・商談内容・バイヤーから頂いた宿題(前コラム参照)について具体的に記載します。
続けてSTARTと同時にGOALを設定します。GOAL欄では、取引額・関係性・今後の展開等について具体的に“なりたい姿”をイメージします。ここで重要なのは、“いつまでに”と期日を決めることです。

その上でバイヤーの要望(宿題)に対して現状商品とのギャップを、段階(STEP)を踏んで縮めていきます。そのためSTEP欄では、商談日・商談方法・商談内容・先方の反応・次の宿題について記載します。

そして「商品A が作れるのなら商品B を作れませんか?」「商品B が作れるのであれば商品C ができない?」といった宿題(売れるためのヒント)をもらい、確実に対応していくことでバイヤーの求める理想型と現状商品のギャップがどんどん縮まり、最終的にそのギャップがゼロになった時に商談成約が生まれることになります。
そうしたら、この『永瀬式SGS商談管理シート』は立派な商談成功記録となり、あなたの自信に繋がるはずです。こうした成功体験をどんどん横展開していきましょう。

“売りたいモノ”を“売れるモノ”に変えていこう!

【販路開拓塾】1〜12回まで読んでいただいた方々には、ひとつでも多くの商談成約を願うのですが、実は商談が成立した時よりも、成立しなかった時の方が勉強になります。

今回の展示会・商談会で“なぜ成約できなかったのか?”、それは自分の商品・売り方が悪かったからです。このことに気づいて改善する人は、いつか成功します。でも諦めてしまう人は、いつになっても成功しません。
なぜなら、皆さんが“売りたいモノ”と“売れるモノ”は違っています。そして、“売れるモノ”はいつも変化しています。だからこそ、“売れるモノ”を知っているバイヤーから「商品A が作れるのなら商品B を作れませんか?」という“売れるためのヒント”をもらい、常に商品開発と販路開拓のループを回し、皆さんの“売りたいモノ”を売れるモノ”に変えていけるように頑張りましょう!

筆者紹介『バイヤーズ・ガイド』編集発行人 永瀬 正彦

筆者紹介
『バイヤーズ・ガイド』編集発行人
永瀬 正彦

経歴 昭和61年に慶應義塾大学経済学部卒業後、株式会社リクルートに入社。求人情報誌の編集を経て、平成4年に独立。平成20年に、食品を作る人と買う人を結び、最終的に消費者と結びたい。そして地域と消費地を結びたいという思いから、『バイヤーズ・ガイド』を創刊、編集発行人に就任し現在に至る。日本全国を自らの足でたずね歩き、各地域の方々と出会い、地元の食をいただき、販路開拓のお手伝いをするのが至上の喜び。現在、中央省庁や地方自治体の各種審議会委員や有識者としてアドバイザーを務める。