(写真右:長谷川さん)(写真左:大森さん)

バイヤーインタビュー vol.2

こだわり食品を追求し幅広い提案を行う商社に聞く、
「地域食品の可能性」

2023.10.25

株式会社エイチアンドイー 長谷川さん、大森さん

今回のバイヤーインタビューは、精力的に地域食品を集め、健康食品販売会社や外食業界を得意先として販売を展開されている株式会社エイチアンドイーの長谷川さん・大森さん。地域食品メーカーの商品に対してどのようなお考えをお持ちなのか、また地域食品メーカーならではの良い点と課題とはどのようなものなのか?についてお話を伺いました。

─ まず、エイチアンドイー様について教えてください。

長谷川(以下敬称略):
弊社は本社が大阪にあります。現在の代表が立ち上げまして、業務内容としては、「食品の卸」を中心として「サプリメント」、あと「化粧品関連」事業を行っています。
食品では外食業界への食品原料の卸、サプリメントに関しては美容、エステサロンへ卸しています。お客様のご要望に合わせたOEM商品を製造いたします。創設して約25年になります。

─ 「食品」の主な事業内容はどのようなものになりますか?

長谷川:
大阪本社は、外食産業、大手レストランの食品の具材、百貨店の弁当の具材などを卸しています。関東支店は私と大森の2人で健康食品専門・販売店などに食品の卸をしております。販促品や、ギフト商品といったモノです。本社と関東支店は、少し販路は違います。

─ 健康食品業界がお得意先様だということですが、主なお得意先様についてお教えいただけますでしょうか。

長谷川:
約80社とお取り引きをしておりますが、数百店舗をお持ちのお得意先様から個人商店のような規模のお得意様もあり、幅広くお取り引きをしております。

─ 御社の強みはどのようなところでしょうか?

長谷川:
「レスポンスの速さ」、「取扱商品の多さ」「特価商品の提案力」が強みだと思います。得意先様のご希望やお問い合わせ、お探しの商品をいかに早く対応できるか、早いレスポンスが求められますね。エイチアンドイーのオリジナル商品があるなら良いのですが、ライバル商社もございますので。メーカー様よりご提案いただいた商品は翌日には得意先様に提案しております。

─ それでは、今探している商品としては、どのようなものがありますか?

長谷川:
「珍しい商品」「新しい商品」「ご当地商品」「無添加商品」や「こだわり商品」です。例えば無添加の商品の場合、賞味期限がとても短くなり取り扱いが難しくなります。防腐剤を入れることで賞味期限を長くすることができるのですが、無添加の商品でなくなります。これもまた、取り扱いしづらい商品になってしまいます。バランスが必要です。

─ なるほど。こだわりの中でも条件に合ったものが欲しい、という事なんですね。

長谷川:
「常温商品」が主流ではありますが、最近力を入れているのは「冷凍食品」です。業務スーパーなど市場規模も大きくなっておりますので、そういった商品も、もっと増やしていきたいと思っています。さらに、エンドユーザーに直送できる「産直」については、コロナ禍に引き続き、今後も需要が伸びてくるかと思います。例えば新鮮な果物や魚介類とか、ギフトやおみやげ品のカテゴリーの商品で、“その地域に無いものを売る”ということに力を入れていきたいと考えています。

─ 生鮮食品系などもお取り扱いされているのですね。

長谷川:
はい、「みかん」「とうもろこし」「さつまいも」「やまいも」「玉ネギ」「ジャガイモ」「パイナップル」などの農産品を扱っています。天候や収穫量に左右されるので、あまり得意な分野ではありませんでしたが、「みかん」などは、北海道の得意先様ではかなりご注文を頂きました。柑橘商品は北海道の流通は少ないのと、「みかん」は愛媛県産か和歌山県産が美味しいというイメージやブランドもありますし。

大森:
他より流通するのが早い時期は、本当に動き(ご注文の状況)が良かったですね。いわゆる「旬な時期」と言うんですかね・・・・

長谷川:
「リンゴ」だったら青森にはあるので、距離的に近い北海道にも多く出荷されております。みかんは北海道など寒い地域でも需要があるにもかかわらず、販売量は本州ほどではありません。ご注文頂いた得意先様も本当に喜んでもらいました。特に「みかん」は、見て、触って、食べてその場で新鮮かどうかすぐ判るじゃないですか。甘いかそうでないかもすぐ判りますし。

大森:
もしかするとメーカー様の方が、みかんに限らず、他の商品でも「この地域には出まわっていないよ」といった情報は詳しいかもしれないので、教えて頂ければと思います。

今後は「地場のものを」「健康に」という方向へ

─ 今後探していく商品はどのようなものをお考えですか?

大森:
いままでは「価格がお手頃」「大容量」「美味しい」といった点を重視していましたが、今注目しているのは、こだわりの商品であったり、健康によい商品、さらに、ご当地商品やその土地に行かないと食べられなかった商品でしょうか。
ご高齢の方でも簡単に料理ができる食品や、電子レンジで温めてすぐに食べられる商品などもいいと思います。

長谷川:
現在、大森が力を入れて探しているのは、女性ならではの目線による「スイーツ」とか「その場ですぐ食べられるもの」。解凍したらすぐ食べられる商品です。例えば“さつまいもの冷凍商品”など結構注文を頂きますし、解凍してすぐ食べられる“大福”のご注文も増えております。お菓子、お土産品の和菓子とか、かりんとうなども非常に良く売れております。

(エイチアンドイー様 売れ筋の商品 『大地のこえ 株式会社グランドグロウ』)

メーカー様にお取り組み頂きたいこと

─ 数多くの仕入れ先、メーカー様と商談をされていますが、お取引の中で、商談の効率を上げ、成約率を高めるために何が必要だと思われますか?

長谷川:
あくまで希望ですが、サンプルの商品を事前にメーカー様からこちらまでお送りいただければ助かります。試食も兼ねて食べてみないと、やはり書類だけでは伝わらないこともございますので。現在のお取引先のメーカー様にも、弊社得意先様用にサンプルをお願いすることもございます。得意先様によって採用される商品も違いますので、10社ぐらいには絞り込んでサンプルはお送りしております。

大森:
我々の得意先の購買部門担当者に、「サンプル必要」という方が多いため、サンプルは必須項目となっています。やはり食品なので食べてみて「美味しい」が一番なんですね。

長谷川:
似たような商品があって、価格も同等、こちらの商社はサンプルがあるとなった時に、競合他社よりは有利になると思います。採用確率も高くなります。

大森:
ただ「サンプル」はコストとか手間もかかってしまうので、もちろんご協力頂ける範囲というのは理解しておりますのでご相談ください。

─ サンプルは食品においては重要ですね。ほかにメーカー様の対応としては、どのようなものがあれば良いと思われますか?

長谷川:
はい、サンプル食品は重要です。メーカー様には迅速なご対応をお願いしたいです。提案書・見積書・画像などを提出するスピード感ですね。見積りがなかなか届かなかったため、得意先様に提案できず流れてしまった事例もございます。

大森:
あとは、バイヤーによっては、画像が必要だったり、JANコードであったり、最低限の企画書・提案書みたいな物が無いと厳しい面があると思います。その先のお客様にもやっぱり提案する時にどんな商品なの?ということが分からないので。

長谷川:
メーカー様から熱意をもって「商品の強み」「長所」をご説明・商談頂けると、私たちとしても、得意先様へのアプローチやアピールもより懸命になれますので。

今後のエイチアンドイー様

─ 今後、御社が取り組んでいきたい事や、お二人が新たにこのような商品を扱っていきたい、などありましたらお話しいただけますか?

長谷川:
食品だけにこだわっているわけではないので、より“健康に特化している商品”を得意先様だけでなく、関わる皆様に喜んでもらえるご提案ができたら良いと思っております。

大森:
例えば、食品会社がよく化粧品も作っていたりするじゃないですか。弊社は化粧品もやっているので、もしそういう物があれば、ご紹介いただけると我々としても大変助かります。

─ エイチアンドイー様ならではのカタチかも知れませんね。
─ 最後に富山県の生産者の皆さんにメッセージをお願いいたします!

わたくしたちがお取り扱いしたい商品は、富山県ならではのご当地グルメやお取り寄せグルメ、お土産品、レトルト商品、缶詰(瓶)、生鮮、青果、お菓子など、食品全般です。弊社では常温食品の流通量が多いですが、冷凍食品・冷蔵商品でも歓迎です。
簡単調理や、そのまますぐに食べられる商品が好まれます。弊社の卸先は、健康食品専門店、スーパー、カタログ通販先が主です。富山といえば北アルプスと富山湾に囲まれ自然豊かで美味しい食材も多いと思いますので、是非ご提案いただきたいと思います。

地方には地方の強みというものがあると思うんです。事業規模が大き過ぎるとできない事も不便な事もいっぱいありますし。
地方だからこそできる、もっと地方色を出してもらって「我々の商品は一番です」「こんな事もできます」そんな商品や提案いただければ、我々もメーカー様と一緒に協力して拡販に努められると思います。

─ 貴重なお話をありがとうございました。