【販路開拓塾】
第8回<魅力的な商談カルテの書き方>
バイヤーにアピールできる実践的な書き方

2025.1.20

『FCP展示会・商談会シート』について、第6回目では表面の書き方、第7回目では裏面の書き方を紹介してきました。今回は『FCP展示会・商談会シート』に関する最後の記事として、バイヤーにアピールできる実践的な書き方について触れます。

FCP 展示会・商談会シートは面接の履歴書だと思え!

FCP展示会・商談会シートの記入に当たっては、必ずエクセルのフォーマットをダウンロードして作成してください。
「FCP展示会・商談会シート」

エクセルのフォーマットに入力するのは、手書きでは読みづらいということも理由の一つですが、一度シートを作成したら終わりではなく、バイヤーとの商談で気づいたことやアドバイスをもとに常に修正を加え続けられるためです。
バイヤーはFCP展示会・商談会シートの完成度を見て事業者のレベルを判断します。シートの完成度が高ければ個別商談で指名を受け、期待値が高い状態で商談に臨めます。
一方、完成度が低ければ個別商談で指名がなく、期待されないまま商談が終わってしまうということもあります。やはり何度も修正を加え続け、ブラッシュアップしたシートは説得力が違います。

■“相手”に熱意が伝わるカスタマイズを!

また展示会来場者や商談相手のバイヤーに対して、限られた時間の中で印象づけるには、FCP 展示会・商談会シートは面接の履歴書だと思うようにしましょう。 皆さんが過去に就職活動をした時、同じ履歴書ですべての会社の面接を受けたでしょうか? 例えば、FCP 展示会・商談会シートでターゲットの売り先欄のすべての業種にチェックをつけていたら、“あなたは一体どこで売りたいの?”と、疑われてしまいます。
志望先の会社に合った履歴書にカスタマイズすることでその会社への入社熱意を伝えたように、商談においても FCP展示会・商談会シートをカスタマイズして、“是非このバイヤーさんと取り引きしたい”という熱い気持ちを伝えてください。

バイヤーにアピールできる書き方のポイント

■すべての項目を埋める

FCP 展示会・商談会シートは、バイヤーの「知りたい情報」を1枚にまとめたシートなので、項目は空白がないよう必ずすべて埋めてください。空白は自信がなかったので書かなかったと思われかねないためNGです。

■スタッフ全員で一緒に書く

そして、FCP 展示会・商談会シートは、できるだけ社内スタッフ全員で一緒に書くようにしましょう。シートの作成を通じて、“お互いの商品に対する意識や、製造や品質管理に関する認識に違いはないか? ”指差し確認をすることができ、社内コミュニケーションの一環にも繋がります。

◾️補足説明がなくても分かるように書く

また、書類はひとり歩きします。商談をしたバイヤーが担当カテゴリのバイヤーに渡したり、問屋が小売店に提案したりと、商談相手以外のバイヤーが見ることもあるので、口頭で補足説明をしなくても分かるように記載しましょう。

“読む書き方ではなく、目に入る書き方”を心がけよう!

さらに展示会は立ち話、商談会も商談時間は20分〜30分前後と限られています。そうなると“後から読んでください”は通用しません。その場が勝負で、最初の面談時に惹き付けられなければ、その後もバイヤーの気を引くことはできません。そのため記載は“読む書き方“ではなく、“目に入る書き方”を心がけましょう。 ここでもエクセルデータであれば活字で読みやすく、太字・赤字・【】などの強調処理を行うことができます。そのうえで、箇条書き・簡潔な文章を心がけましょう。 最後にエクセルで注意しなければいけないのは、セル内にたくさんの文字を入力してしまうと、きちんと表示されない、または文字に縮小がかかってしまう点です。出展企業紹介のメッセージ欄で、思いのこもった文章でバイヤーに熱意を伝えたいという方は、別紙で手書きのお手紙(自己PR文)を添えてみてはいかがでしょう? 思いや熱意はきっと伝わるはずです。

筆者紹介『バイヤーズ・ガイド』編集発行人 永瀬 正彦

筆者紹介
『バイヤーズ・ガイド』編集発行人
永瀬 正彦

経歴 昭和61年に慶應義塾大学経済学部卒業後、株式会社リクルートに入社。求人情報誌の編集を経て、平成4年に独立。平成20年に、食品を作る人と買う人を結び、最終的に消費者と結びたい。そして地域と消費地を結びたいという思いから、『バイヤーズ・ガイド』を創刊、編集発行人に就任し現在に至る。日本全国を自らの足でたずね歩き、各地域の方々と出会い、地元の食をいただき、販路開拓のお手伝いをするのが至上の喜び。現在、中央省庁や地方自治体の各種審議会委員や有識者としてアドバイザーを務める。