
【販路開拓塾】
第10回<展示会・商談会 準備編>
ブース作りや試食の準備、来場者への声がけ
2025.2.20
今回は展示会のブース作りや試食の準備、来場者への声がけについてご説明します。展示会も商談会もズバリ準備がすべてです。本番では練習以上のことは起こりません。
ブース作りを展示会設営時に行っていませんか?
展示会に出展する時、皆さんは“いつ・どこで”ブース作り(商品展示・演出等)を行っていますか? おそらく展示会前日の設営時にブース作りを行っていると思いますが、これはよくありません。
というのも、設営時にぶっつけ本番でブース作りをしていると、商品展示で試行錯誤したり、機材の調子が悪かったり、備品を忘れて慌てて買いに行ったりすることになり、あっという間に退出の時間がきてしまいます。
仕方なく翌日に持ち越して展示会初日に続きの作業をしていると、開場の時間となり、バイヤーが来場してバタバタで商談が始まってしまうことに。
こうしたことがないように、展示会の1週間前に社内で納得のいくブースを作ることをおすすめしています。
納得のいくブース作りができたら、スマートフォンでブースを撮影し、使用する備品をすべて段ボールに詰めて会場に送ります。会場に着いたらスマートフォンの画像を確認しながら、納得のいくブースを再現すれば良いのです。こうすれば1〜2時間程度で納得のいくブースを作ることができます。
ブース作りで重要な “コンセプト” と “差別化”
ブース作りのポイントは、コンセプト(出展の目的・展示商品の優先順位)を決めることです。その上で、造作・テーブルクロス・ポスター・のぼり・POP・衣装・キャラクターなどフル活用して、他のブースとの差別化を図りです。
平台に平置きだと来場者の視界に入りませんので雛段で立体的に演出する、展示台の両端を高くして中央を低くすると中をのぞいてみたくなる“お城・洞窟の法則”を活用するのも手です。来場者の催事に出店した時のイベントスペース、販売ブースのイメージで、売り場を意識した展示も良いアピールに繋がります。
“どうしたら上手く商品を伝えられるか? 一番美味しく試食してもらうには?”
バイヤーをブースに惹き付けるための試飲・試食の用意も重要です。“どうしたら上手く商品を伝えられるか? 一番美味しく試食してもらうには?”を念頭に置いて、試食方法・ポーション(大きさ)・他商品との食べ比べなど、商品の味わいを演出しましょう。
また新型コロナウイルスの影響もあり、試飲・試食の提供方法など衛生管理への意識はますます重視されます。
新型コロナウイルスの感染リスクから、小売店での催事販売での試飲・試食方法を見直すところも出てきました。こうした観点からも、試飲・試食用のミニ商品サンプル配付は有効だと思いますので、今から開発に取り組んでみても良いでしょう。
出展目的で来場者への呼びかけ方は変わる!

展示会で自分のブースに引き込むためには、来場者への声がけが重要となります。皆さんは会場でどのような声がけを行っていますか?
【声がけの例】
A:どうぞご覧ください
B:ご試食いかがですか?
C:○○県の××市から来た、◎◎の美味しいお米です。
D:楽天で大賞を取ったアイス、限定100 食のご試食です。
E:○○県のかまぼこの食べ比べにご協力ください。アンケートにお答えいただくと粗品を差し上げています。

最後に皆さんが展示会会場で名刺や資料・サンプルを渡そうとして、来場者にいらないと言われたらショックですか?
A:かなりショック!!
B:特になんとも思わない。
C:むしろうれしい!!
初出展の方はAという方も多いかも知れませんが、皆さんの名刺や資料・サンプルを求めていない来場者の名刺は必要でしょうか?
というのも、もしも皆さんに興味を持っていない人の名刺を受け取ってしまったら、展示会終了後にフォローアップをしないとならないのです。
展示会の会場で成約見込みの◎△×のクリーニングを行った方が効率的なので、皆さんの名刺や資料がいらないということは“不要な名刺をもらわなくて良かった!”とポジティブに捉えて、どんどん前に進んで行きましょう。

筆者紹介
『バイヤーズ・ガイド』編集発行人
永瀬 正彦
経歴 昭和61年に慶應義塾大学経済学部卒業後、株式会社リクルートに入社。求人情報誌の編集を経て、平成4年に独立。平成20年に、食品を作る人と買う人を結び、最終的に消費者と結びたい。そして地域と消費地を結びたいという思いから、『バイヤーズ・ガイド』を創刊、編集発行人に就任し現在に至る。日本全国を自らの足でたずね歩き、各地域の方々と出会い、地元の食をいただき、販路開拓のお手伝いをするのが至上の喜び。現在、中央省庁や地方自治体の各種審議会委員や有識者としてアドバイザーを務める。