
【販路開拓塾】
第7回 <魅力的な商談カルテの書き方>
生産・製造工程アピールと品質管理情報
2025.1.10
今回も前回に引き続き、『FCP展示会・商談会シート』の書き方について説明します。 裏面は企業情報となっていて、「出展企業紹介」「生産・製造工程アピールポイント」「品質管理情報」の大きくけて3つの項目に入力することになります。

生産・製造工程アピールポイント
原料の受入から出荷まで工程の流れをフローチャートで示そう!
FCP展示会・商談会シートの裏面で皆さんが苦手とされているのが、シート中段の「生産・製造工程アピールポイント」と下段の「品質管理情報」の書き方になります。
「生産・製造工程アピールポイント」は、バイヤーが“何を目指している会社か? 質の良い商品を安定的に供給できるか?”についてチェックするための項目です。
本項目では生産・製造工程を、原料の受入から出荷まで工程の流れをフローチャートで示すことが理想的です。HACCP(ハサップ)※を取得していれば、フローチャート対応可能な方が多いでしょうが、難しいという方は受入から出荷までの工程を矢印で画像とキャプション(説明書き)で示しても構いません。
下部の写真欄は、バイヤーが現地視察・工場見学しなくても安心できるよう、「製造ライン」「人(服装)」「商品」の写真を入れることで、実際に訪問しなくても衛生管理の状況がうかがえるようにします。
※HACCP(ハサップ):「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」の5つの単語の頭文字に由来する、衛生管理の手法。
品質管理情報
食の安全性を担保できるか? バイヤーに安心を与えられるか?
最後の「品質管理情報」では、バイヤーに対して“食品の安全性を担保できるか? 衛生管理・危機管理で安心を与えられるか?”について記載します。 以下の表を参考にしながら、ご自身の取り組みと照らし合わせて記載してみましょう。以下表と照らし合わせてみると、自社の品質管理の状況(強み・課題等)もきっと見えてくるはずです。浮かび上がってきた課題を解決することで、次の段階にステップアップできます。万全の品質管理を目指しましょう!
- 商品検査の有無
- 衛生管理に係る検査項目につき検査結果を示し、製造現場、生産現場の安全性を示す。
(例)
一般生菌・大腸菌・かびの検査、目視検査(包装不良・異物混入・商品品質)など - 衛生管理への取り組み
- 製造現場・生産現場が、安全かつ適切な食品を供給し、危害の発生を防止するための体制が整っていることを示す。
(例)
生産・製造工程の管理 : 作業工程のマニュアル化、作業日報の作成管理など
従業員の管理 : 体調の確認、けがの有無、服装や入室時の取り決め、専門家による講習など
施設・設備の管理 : 清掃、整理整頓、メンテナンス、5S の徹底、メーカーサポートなど
- 危機管理体制
- 緊急時(事件及び事故発生時)における、社内体制やお客様とのコミュニケーション方法の取り決め等。
※緊急時における担当者と連絡先・原因究明を容易にする情報(原材料情報、品質検査記録等)の記録及び管理方法。(例)
資材管理帳、製品生産日報、在庫管理など、作業手順書・記録の保存およびPL 保険加入の有無

筆者紹介
『バイヤーズ・ガイド』編集発行人
永瀬 正彦
経歴 昭和61年に慶應義塾大学経済学部卒業後、株式会社リクルートに入社。求人情報誌の編集を経て、平成4年に独立。平成20年に、食品を作る人と買う人を結び、最終的に消費者と結びたい。そして地域と消費地を結びたいという思いから、『バイヤーズ・ガイド』を創刊、編集発行人に就任し現在に至る。日本全国を自らの足でたずね歩き、各地域の方々と出会い、地元の食をいただき、販路開拓のお手伝いをするのが至上の喜び。現在、中央省庁や地方自治体の各種審議会委員や有識者としてアドバイザーを務める。