グルメ特集

Vol.31

とやまの郷土料理を伝える 「伝承の匠」・第三弾

豊かな自然に恵まれ、長い歴史のなかで多彩な食文化が育まれた富山県。
富山の食の魅力を県内外に発信するため、卓越した技能を有し、
普及活動を行える方々を「とやま食の匠」として認定しています。
今回はその3部門ある中のひとつ「伝承の匠」として活躍する方のお話や、
伝統ある富山の郷土料理についてご紹介します。

「とやま食の匠」 制度とは?

とやまの食に関する卓越した知識と技能を有し、その普及活動を積極的に行える個人や団体を「とやま食の匠」として認定する制度です。「特産の匠」「伝承の匠」「創作の匠」の3部門に分けられ、講習会やイベント等を通じて、「とやまの食」の魅力を県内外に発信していただいています。

「伝承の匠」紹介

「伝承の匠」
倉本 禮子さん
(平成19年に「伝承の匠」に認定)
郷土料理「ホタルイカの辛子酢味噌」
ホタルイカ本来の美味しさを楽しめる、
春の富山湾からの贈り物。
ホタルイカを、たっぷりのお湯で茹で上げて、綺麗な色になったら冷水でさっと洗い、水分をよく切ったら出来上がり。
あとはお好みで浅葱、みょうが、ワカメ、生姜を盛り付けて、辛子酢味噌と一緒に食べるシンプルな郷土料理です。
シンプルな料理だからこそ、ホタルイカ本来の美味しさを楽しめます。
辛子酢味噌だけでなく、酢味噌や明太子マヨネーズなどで食べてみるのもおすすめです。
調理ポイントは「水切り」。 茹で上がった後に、しっかりと水分を切ることで、くさみが抜けて美味しく食べられます。キッチンペーパーを敷き、タッパー等で密閉して冷蔵庫に保存しておくと残った水分をしっかりと取り除くことができます。
海に面した富山県滑川市の地元民から
親しまれてきた郷土料理。
昔は朝獲れたばかりのホタルイカを茹で、そのホタルイカと浅葱、辛子酢味噌を混ぜた「ホタルイカのぬた」が春になるとどの家庭の食卓にも並んでいました。また、以前は、海の周辺に加工屋が多くあり、獲れたてのホタルイカを大鍋に入れて加工屋に持って行き、茹でてもらう習慣もあったそうです。
今はこの料理が、郷土料理「ホタルイカの辛子酢味噌」として伝えられています。
ぜひ県内外の方々に味わってもらいたいです。

INTERVIEW

「伝承の匠」倉本 禮子さんに、
インタビューを行いました!
活動への想い
「小学校から高校まで、色々な年代向けの体験教室からご依頼をいただきますが、必ず獲れたてのホタルイカに触れてもらってから、釡茹でにして食べてもらうようにしています。美味しさを楽しんでもらうと同時に、富山湾からの贈り物であるホタルイカの命を頂いているということを体感してほしくて始めました。自然の命の大切さも伝えていかないといけないことだと思っています。」と倉本さん。
倉本さんは、ホタルイカ以外にもお魚を使った料理教室も開催しており、富山の郷土料理の魅力を普及しています。

最近の活動状況

2020年3月 BS 朝日「暦に集う」出演
2021年3月 北日本新聞「紺野美沙子 この人この味」に掲載
2022年1月 県推連「富山湾のほたるいか食べに行こう」パノラマレストラン光彩とコラボ
2022年3月 富山福祉短大で教室
2022年5月 教育委員会「見て体験して食べよう」なめりかわ食育教室
2022年5月 悠々クラブ(男子)
2023年5月 教育委員会「見て体験して食べよう」なめりかわ食育教室
今後の想い
富山湾で獲れるホタルイカは大きくて綺麗です。これは漁法に工夫があるからです。富山県では、産卵期を迎える3~6 月の期間に定置網でお腹の大きなメスを捕獲しています。他県の底引き網でオスとメスが混ざって捕獲されるホタルイカと比べると魚体が大きいのはこのためです。そこで使われる網は「わら」で編んであり、これにより魚体を傷つけずに生きたまま引き上げることができるので、鮮度と形を保てるのです。
富山のホタルイカが美味しいと思ってくれた県外の方や、富山の若い世代にもこういったエピソードを知ってもらうと面白いと感じてもらえるかもしれません。自然の恵のホタルイカが生息する地区で、富山の漁師が工夫を重ねてきた歴史があるから、今の富山県のホタルイカのブランド力に繋がっているということも長く伝えていきたいと思っています。
また、お家で簡単にホタルイカを使った料理を作ってもらうために、家にある材料でできるアレンジレシピを考案しています。それらを子どもたちに食べてもらい、次世代へと受け継がれていくことを願っています。

伝承料理のレシピ紹介