「水だんご」
清らかな湧水と
米文化が息づくまち
富山県黒部市「生地」
清らかな湧水と
米文化が生んだ、
夏の涼菓「水だんご」
湧水の恵みが生む、
澄んだ味わい
立山連峰から流れ出る雪解け水が地下を通り、何十年もの時を経て湧き出る生地の「清水(しょうず)」。口に含むとほんのり甘く、柔らかな口あたりが特徴です。この湧水こそが、水だんごの生命線。つるりと冷やした団子が喉を通る瞬間、澄み切った水の清らかさと、夏の涼やかな風景が重なります。

素材は米粉と片栗粉だけ
使うのは、富山県産コシヒカリの上新粉と北海道産片栗粉だけ。ごまかしのきかない、きわめてシンプルな組み合わせです。だからこそ素材の質と配合の妙が、味わいと食感を大きく左右します。もっちりとした弾力とほのかな甘みは、米の力そのもの。片栗粉が生み出すつるんとした舌ざわりが、ひと口ごとにやさしく広がります。仕上げにふりかけるきな粉も富山県産の大豆を使用しています。

その日限りの、
作りたての美味しさ
水だんご伝承「生地あいの会」の水だんごは、無添加で作るため日持ちはしません。作ったその日、もしくは翌日までが食べごろ。だからこそ、できたてを水で締めた瞬間の張りや、歯切れのよい食感が味わえます。口に入れた瞬間のひんやり感、噛むほどに広がる米の風味——それは“今このとき”しか出会えない贅沢です。

生産者インタビュー

湧水と素材が引き出す、
唯一無二の味わい。
生地の水だんごは、作ったその瞬間から時間との勝負。このレシピにたどり着くまでには多くの試行錯誤がありました。配合がわずかに違うだけで食感や風味が変わるため、何度も作っては味見を繰り返し、先輩方や仲間同士で意見を出し合いながら、「これだ」という分量を見つけ出しました。ゆで上がった団子を水で締めたときに生まれる、つるんとした表面ともちもちとした弾力と素朴な甘さ——それは、手作りならではの水だんごの唯一無二の味わいです。
機械を使わない、
作りたてだけの贅沢。
機械を使わず、すべて手作業で作る水だんごは、均一な形や食感を保つ機械製とは違い、手作りならではの微妙な表情や食感の変化が魅力。ややしっかりとした噛みごたえがあり、かむほどに素材の風味が広がります。そして何より、一つひとつを丁寧に仕上げる“人の手の温もり”が、口にした瞬間に感じられます。



手作りの水だんごマスコットが飾られています。
受け継いだ味を、
次の世代へと
つなぐために。
私たちが水だんご作りを始めたきっかけは、地域の誇りであった和菓子店「河田屋」の存在です。夏になると、水だんごが涼しげに並び、地元の人々に愛されてきました。しかし、高齢化と後継者不在により閉店。そのとき「この味を絶やしてはいけない」と、生地あいの会の仲間たちで製法を直接学び、技を引き継ぎました。体験や交流を通して“作りたて”の味を知ってもらうことが活動の中心。できたてを頬張ったときの「おいしい!」という声と笑顔が、何よりの喜びです。
仲間とつくり、
地域と楽しみ、
未来へ伝える。
水だんご伝承「生地あいの会」は、2001年発足の「生地あいの会」を前身に、現在9名で活動しています。材料の手配や会計、イベント準備などを分担しながら、月に3回程度の体験教室を開催。
作業場では、湯気の立ちのぼる大鍋の前で、メンバーが笑顔で声を掛け合いながら団子を丸めています。「今日はちょっと柔らかいね」「こっちは形がきれい!」——そんなやりとりと笑い声が絶えません。作る人も、教わる人も、同じ時間を楽しみながら一緒においしい水だんごを完成させていきます。
地元の子どもから県外の来訪者まで、作って食べて笑い合うひとときが、この会の一番の魅力。黒部・生地の夏の風物詩を、これからも笑顔とともに未来へつないでいきます。
令和7年8月1日 水だんご伝承「生地あいの会」の
「水だんご作り教室」での様子
水だんごレシピのご紹介
家庭でつくる「水だんご」の
作り方ポイント
家庭でおいしい水だんごを作るには、新鮮な米粉と片栗粉を使い、水加減をその日の気候で調整します。粉を落として、耳たぶほどの柔らかさまでこね、ゆでたら冷水にくぐらせ、すぐに食べるのがもちもち感の秘訣です。
食の匠が教える伝統レシピ「水だんご」はこちら
