グルメ特集
「こうじ・みそ」
こうじ屋のまち、富山
発酵食品づくりに
適した風土と、
そこで育まれた文化
美味しい米、大豆
豊富な栄養素を含んだ土が流れ着いた富山平野は、肥沃な大地として、質の高い米や大豆を育てる土壌が保たれています。
清らかな雪解け水
お米を蒸す時にも、クセがなく、素材の良さをそのままを活かすことができます。
とやまの気候風土
豪雪地帯と言われた北陸・富山では、冬の保存食となる発酵食が盛んで、こうじの需要が高く、今なお多くの人々に愛され続けています。
さまざまな発酵食品
「こうじ」について
「こうじ」とは、米・麦・豆などの穀物に「麹菌」という微生物を繁殖させたものです。一般的に「麹」と呼ばれますが、米を用いたものは「糀(米麹)」と表記して区別されることもあります。麹菌は、でんぷんやたんぱく質を分解するさまざまな酵素を作り出し、旨みや甘みを引き出したり、素材を柔らかくしたりする働きを持っています。このような微生物による働きを「発酵」と呼び、発酵食品に欠かせない存在が、この「こうじ」なのです。

「みそ」について
味噌づくりは、蒸した大豆に糀と塩を混ぜ、温度や水分を管理しながら、空気を抜いた状態で発酵を進めていきます。糀に含まれる麹菌が作り出す酵素が、大豆に含まれるたんぱく質をアミノ酸に分解し、みそ特有の旨みが生まれます。さらに、蔵や樽に棲みつく酵母や乳酸菌が、味や香りをより高めてくれます。

生産者インタビュー

ひとつひとつに、
職人のまなざし。
創業時から「こうじ蓋製法」にこだわり、手間暇をかけて良い「麹」を作っています。こうじ蓋製法では、湿度70〜80%、温度は30度弱を保った麹室(こうじむろ)にこうじ蓋を並べ、水分をたっぷりと含ませた板をその上に置いて、わざとカビやすい環境をつくり、発酵させています。麹菌が繁殖していくさまを「はぜる」というのですが、麹菌も生き物なので、繁殖しやすい環境を作ってあげることで、お米からわたぼうしのような麹の菌糸がびっしりと生えてきます。その良い状態を維持するために、職人は常に目を光らせています。また、釘を一切使わない、木組みで作れられたこうじ蓋を長年使用しているのも、一人前のこうじを作るポイントです。同じ富山県産コシヒカリと同じ麹菌を使っても、こうじ蓋製法でなければ、このようにこうじ蓋の一面に菌糸を美しく育てることはできません。そのため、私たちも手間を惜しまず、いつでもお客様に良いこうじを提供できるように、温度と湿度の管理には十分に注意しています。
木樽に宿る、
伝統の旨み。
味噌づくりでは、地下に穴を掘り、その中に木樽を埋め、1年かけて自然な気候の中で熟成させています。近年、富山では夏は40度を超える猛暑や冬は大雪という厳しい気候が続いています。それでも美味しい味噌を作るためには、温度変化が少ない環境で自然に近い条件で熟成させる必要があります。地下に貯蔵することで、常に平地よりもマイナス7度の温度が保たれ、味噌の色合いも安定し、温度変化の少ない環境で自然な発酵を促進することができます。また、創業当時から使用している木樽には長年育まれた菌が生息しており、味噌の風味を豊かで味わい深いものにしています。


菌も、味も、
想いも、生きている。
30歳から父のもとで麹や味噌づくりを始めましたが、最初は知識も技術もなく、覚えることばかりでした。食品を扱う上で衛生管理は当然なのですが、あまりにきれいにしすぎると、建物やこうじ蓋・木樽にいる良い菌まで失われてしまい、旨みが出なくなってしまいます。特に、こうじ蓋や木樽には味を支える菌が染み込んでいるため、丁寧に優しく洗い、長く使えるよう気を配っています。こうした知識を自分でも学び、周りにも伝えていくことで、新村の味を守る努力を続けています。ものすごく手間はかかりますが、新村の味噌汁を飲んで「美味しかった」と喜んでいただける姿を見ると、本当に嬉しくなります。これからも昔ながらの製法にこだわり、お客様に喜ばれる味を届けていきたいと思います。
つくって、楽しんで、
伝わっていく。
高度経済成長期以降、日本の味噌の消費量が急激に減少しました。それに危機感を抱いた新村こうじみそ商店 四代目 新村 義孝(私の父)が、味噌や糀を通じて日本の食文化の大切さを伝えたいという思いから、富山こうじの里研究会を立ち上げました。現在は県内各地で、味噌作りやかぶら寿し作り体験、発酵食品の魅力を伝える講習会を定期的に開催しています。活動は当初年間10回ほどでしたが、今では年間180回程度にまで増えました。イベントでは、お客様が楽しみながら味噌を作り、子どもたちが「おもしろかった!」と喜んでくれることが何より嬉しいと感じています。また、最近ではスペインのシェフが味噌作りを体験しに訪れてくれました。味噌は今や、和食だけでなく洋食やお菓子やなどにも応用され、美容や健康に良い食材としても注目されています。
令和7年3月15日 食の匠派遣「味噌作り教室」での様子
店舗案内
合同会社 新村こうじみそ商店
住所 | 〒939-8081 富山県富山市堀川小泉町793番地10 Google map |
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TEL / FAX | 076-421-6428 / 076-421-6950 |
営業時間 | 9:00〜18:00 |
定休日 | 日曜・祝日/年末年始・GW |
オンラインショップ | https://shop.shinmurakoujimiso.com/ |
