富山の食材

ゆず[特産の匠]

肉厚の果皮に愛嬌のあるデコボコ

デコボコとした独特の曲線美と爽やかな芳香で人々を魅了する「ゆず」。柑橘類に属するため南国で育つ印象がありますが、意外にも耐寒性が強く、東北以南各地の広い地域で栽培されています。富山県内で昔からゆずの栽培が行われているのが、砺波市庄川地区です。
この地にゆずの原種をもたらしたのは、弘法大師と伝えられます。また、井波瑞泉寺を創建した綽如(しゃくにょ)上人にゆずを献上したという逸話があり、中世の時代からこの地でゆずが親しまれていた事がわかります。
庄川ゆずは表皮が粗く、表面のデコボコ感が強いという特長があります。また、温暖な地域で育つものに比べて表皮が肉厚のため、皮が重宝されるという、ゆず特有のニーズに叶っています。さらに、表面がデコボコなため、香りを発する皮の表面積が大きく、特有の強い香りを醸し出しています。1個120g前後のものが主流で、サイズが大きく形が綺麗なものは、贈答用として買い求められます。

ゆずを霜から守る「庄川おろし」

ゆずは霜にあたると苦味が強まる性質があるため、霜は大敵です。庄川地区には、朝夕の冷え込み時に通称「庄川おろし」と呼ばれる風が吹き込み、ゆずを霜から守ってくれます。栽培の中心になっているのは、旧庄川町最大の集落がある金屋地区。以前は「金屋ゆず」と呼ばれていましたが、現在は庄川地区全域で生産されるゆず全体を指して「庄川ゆず」と呼ばれています。 栽培が拡大するきっかけとなったのは、昭和45年以降の転作制度です。転作作物として農地にゆずの木が植えられるようになり、通称「ゆず団地」と呼ばれるエリアが生まれました。さらに昭和48年、旧庄川町がゆずを「町の木」に指定し、全世帯に苗木を配布。昭和56年、県の「特産の里」指定品目に位置づけられたことを契機に金屋ゆず生産組合が設立され、安定した栽培に向けた取り組みが行われるようになりました。
平成30年現在、庄川地区全域から42世帯が組合に参加し、約5.1haで1,000本余りのゆずを栽培しています。

いろいろな加工品でゆずを身近に

ゆずの収穫量は隔年ごとに大きく異なることが、関係者にとって悩みの種です。例えば平成19年度に23tが収穫されたのに対し、翌20年度は5.7tまで減少。その差が歴然としています。そこで近年は、実が青いうちの摘果作業を計画的に行うなどして、毎年の収穫量を平均化する取り組みが行われています。摘果した青玉を柚子胡椒などの加工品に活用することで新商品が誕生するなど、好循環も生まれています。
収穫されたゆずの大半は、毎年11月第2土・日曜に開かれる「庄川ゆずまつり」で販売されます。また2割程度が加工され、ゆず味噌、ゆず酢、佃煮、甘露煮、マーマレード等に姿を変えます。ゆずを丸ごと味噌につけ、3年間熟成させる「ゆずの味噌漬け」は、庄川地区の伝統的な保存食として今に受け継がれています。
昨年から直売所が開設されたほか、今後はネット販売も予定されているとのこと。歴史ある庄川ゆずに触れる機会が、今後ますます増えることが期待されます。

ゆずの大馬鹿18年

ゆずの木は成長が遅く、種から成木になるまで長い期間を要することから、かの有名な「桃栗3年、柿8年」に続いて、「ゆずの大馬鹿18年」と言われることがあります。ただしこれは種から育てた時の話。庄川地区では、地元に昔からあった優良系統を選定し、接ぎ木をすることで若木を育成しています。近年は温暖化傾向にあることから成長が早く、5年程度で結実が見込まれるとのこと。長くお世話になった老木から、若木への転換が計画的に進められています。

DATA

旬の時期

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主な生産地

  • 砺波市

[特産の匠]金屋ゆず生産組合

【砺波市】庄川ゆず

日本海側最北のゆず産地として、「庄川ゆずまつり」の開催・イベントへの出店や直売所等での宣伝活動、販売を積極的に行い、砺波市の特産物としてのブランド化の確立に努め、地域の活性化に貢献している。他の産地と比較して表面が粗く凸凹が目立ちゆず特有の香気をたっぷりと含み、表皮が厚く酸味の強い特上品であると好評で、昔からふるさとの味として愛用されています。