富山の食材

ほうれんそう[特産の匠]

収穫直前に市場へ、新鮮なまま食卓へ

ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素を豊富に含むほうれん草。高岡市は、富山県内のほうれん草生産量の約6割を占める、一大産地として知られています。昭和50年代から本格的な栽培がはじまっており、その道30年以上のベテラン農家が、第一線で活躍しています。
産地は高岡市地方卸売市場に近く、収穫した野菜をすぐに市場へ届けられる利点があります。ほうれん草に代表される軟弱野菜は、収穫後の鮮度劣化が早く、地の利が、ほうれん草の出荷に有利に働きました。収穫直後に卸売市場へ出荷され、新鮮なまま野菜売場に陳列、その日のうちに食卓へ届くという流通パターンが実現したのです。平成30年度は高岡市内114戸の農家が、年間で延べ19.3haで栽培に取り組み、その大半が富山県内で消費されています。

見た目よりも鮮度を重視

食品スーパーなどの野菜売場でほうれん草の陳列状況を見ると、透明なビニールで包装されているものと、包装されていないものがあります。高岡産のほうれん草は、葉の根元を結束帯で束ねるだけで、包装されません。包装することで見た目の印象を良くすることが好まれる時代にあっても、昔から変わらない根つき結束スタイルで出荷されます。これは出荷までの作業時間を短くするという、鮮度重視の姿勢の現れです。
高岡産ほうれん草のもうひとつの特長は、農家全員がエコファーマーを取得していること。エコファーマーとは、たい肥を活用した土づくりなどにより、農薬や化学肥料の使用量を低減させる栽培に取り組む農業者のことで知事が認定するものです。ほうれん草栽培に取り組む高岡市農協野菜出荷組合軟弱部会は農家全員がエコファーマーを取得しており、環境にやさしい農業を実践しています。(→エコファーマー制度)

長年のキャリアで環境変化に対応

ほうれん草の生育は天候に左右されやすく、栽培が難しい野菜です。特に暑さに弱く、気温が30度を超える暑さが長引くと発芽不良や立枯れが発生し、全滅するリスクもあります。
そのため、遮光や換気によって土の表面温度が適温に保たれるよう調整するなど、気候変化に応じた細やかな対応が求められます。
高岡市内の栽培農家は、30年以上の歴史で培った経験から、昨今の異常気象でも安定した出荷を実現しており、それが高岡産ほうれん草の信頼につながっています。
また、ほうれん草栽培農家では、寒締めほうれん草の栽培にも力を入れています。冬の寒気にほうれん草をさらすと、糖度や、ビタミンC、ビタミンEなどの栄養素の濃度が上昇するなどの効果があることが分かっています。今後のほうれん草の新たな可能性を感じさせます。(今が旬!とやまのカンカン野菜)

生育状況と鮮度がポイント

ほうれん草は栄養が豊富に含まれていることで知られていますが、生育状況が悪かったり、鮮度が落ちると、その栄養素が失われてしまいます。食品売場でほうれん草を選ぶ際には、葉先が黄色く変色しているものは避け、葉っぱが緑色でハリのあるものを選びましょう。
栄養豊富なほうれん草。鮮度のよいものを選び、その効能を余すことなくいただきましょう。

DATA

旬の時期

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主な生産地

  • 高岡市

[特産の匠]今井 照夫(いまい てるお)

【高岡市】

堆肥等による土づくりや防虫ネットによるほうれんそうの減農薬栽培に積極的に取り組んでいる。また、播種時期別に品種を細かく使い分けることで、収量の安定出荷につなげるなど、日々の研究にも努力している。 県下で一番大きな高岡市のほうれんそう産地組合の組合長を務め、産地内の後継者等に対して率先して技術指導を行うなど、リーダーシップを発揮しながら産地の活性化に尽力している。また、学校給食食材としての野菜提供等、地産地消活動にも熱心に取り組んでいる。