富山の食材

ベニズワイガニ

浜を紅色に染める深海からの使者

9月1日、ベニズワイガニ漁が解禁されると富山湾の沖合いでは、直径が1.5mある鉄製の重い「カニカゴ」が、ひとつの漁場で何百個も沈められます。水深800~1500m付近に沈められたカゴが再び引き揚げられるのは数日後。仕込まれた餌を求めてカゴに入ったベニズワイガニは深海から一気に漁船へ引き揚げられます。浜へ揚げられたベニズワイガニは水分が抜けないように甲羅を下にした仰向けの状態で並べられます。全身に帯びた朱色は、熱を通すとさらに鮮やかさを増し、紅葉よりもひと足早く、鮮やかな紅色で秋の到来を告げます。
冬の味覚の代表格とされるカニですが、ベニズワイガニは水温がほとんど変化しない水深400~2700mの深海で生息します。この海域の水温は0.5~1.0度程度。水深200~600mに生息するズワイガニに比べて水分が多く含まれるのは、水圧が高い深海域に生息するためと考えられます。水分が多く、身が柔らかいことから、ズワイガニの代用品として扱われる時代が長く続きました。しかし、最近では、肉厚で身離れがよく、甲羅の味噌がとろけるように美味しいと、人気が高まっています。

かにかごなわ漁法によって隆盛を迎える

ベニズワイガニが本格的に漁獲されはじめたのは、「かにかごなわ漁法」が導入されてからです。それ以前は網に餌となる魚をとり付け、食べに来たカニが網にからまって動けなくなったところを捕獲していました。ところが、からまったカニの取り外し作業に時間がかかり、その間の鮮度落ちが激しく、網も痛むことから、決して歓迎されるものではありませんでした。そこで、魚津市の漁師・浜多虎松さんが当時から北海道で行われていたズワイガニのカゴ漁法に目をつけました。浜多さんは、ベニズワイガニにカゴ漁法を応用するためにカニカゴを研究し、昭和30年前後に漁獲を成功させました。噂を聞きつけた漁業関係者らが次々に「かにかごなわ漁法」を取り入れ、その後瞬く間に日本海に広まりました。現在では世界中のベニズワイガニ漁がこの「かにかごなわ漁法」によって行われています。
魚津市では浜多虎松さんの功績を讃えて、毎年ベニズワイガイを提供するイベントが催されています。市内にあるベニズワイガニを提供する観光物販施設「海の駅蜃気楼(しんきろう)」を会場に、ベニズワイガニが大量に販売され、毎年大勢の来場者で賑わいます。
なお、ベニズワイガニは、昭和50年に当時の国(農林省)の試験研究機関の研究者により、最初は「ベニズワイ」として名づけられました。その後、「ベニズワイ」だけでなく「ベニズワイガニ」という呼称が併用されるようになり、近年では「ベニズワイガニ」と呼ばれることが多くなっています。

成長の遅いベニズワイガニ

ベニズワイガニは日本海のほか、銚子以北の太平洋、オホーツク海にも分布しますが、日本海では水深400~2700mの深海域に広く生息し、漁業も盛んに行われています。漁獲の対象となるのは甲幅が9cmを超える雄のみですが、富山県水産研究所の研究により、雄がこのサイズに成長するまでには、少なくとも11回の脱皮を繰り返し、9年以上の時間がかかることが明らかになってきました。浅海域に棲むカニに比べて成長が遅いのは、冷たい深海域で生息するためと考えられますが、その生態はまだ解明されていない部分が多いことから、現在も、県の水産研究所において本種の生態等に関する調査研究が継続的に行われています。
なお、ベニズワイガニは令和7年度よりTAC(漁獲可能量)による管理が開始され、採捕数量を直接コントロールすることで、必要な資源量の水準を確保しながら水産資源の持続的な利用を図っています。

秋の味覚「高志の紅ガニ」のブランド化

県と漁業関係者は平成28年度から、「高志(こし)の紅(アカ)ガニ」として、県産ベニズワイガニのブランド化を進めており、「富山湾の朝陽(あさひ)」をキャッチフレーズとして、全国に魅力を発信しています。特に、甲羅幅14cm以上、重さが概ね1kg以上など一定の規格を満たすものには「極上 高志の紅ガニ」のタグが付けられ、プレミアム感を打ち出しています。
県産ベニズワイガニは、ズワイガニよりも2カ月ほど早く漁期が始まり、旬を先取りできること、本県産の鮮度の良いベニズワイガニの甘味成分「グリシン」と旨み成分「グルタミン酸」がいずれもズワイガニより高く(富山県食品研究所調べ)、品質と比較して価格もリーズナブルな点も魅力です。
富山湾の“秋の味覚”として、「高志の紅ガニ」が「県のさかな」に加わり、春のホタルイカ(富山湾の神秘)、夏のシロエビ(富山湾の宝石)、冬のブリ(富山湾の王者)とあわせて全国に広く発信しています。

DATA

旬の時期

  • 1月
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12

主な生産地

  • 射水市、滑川市、魚津市、黒部市

お問い合わせ先

紅ズワイガニ・ブランド化推進協議会
(事務局:富山県漁業協同組合連合会)

富山市舟橋北町4-19

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