富山の食材

新川だいこん

新川だいこん

大きな根と書く「大根」は、文字通り「根」の部分が肥大化した野菜です。根は土の中の養分を吸い上げるために「ひげ根」を伸ばし、これを取りのぞいた跡がくぼんで見えるのが一般的です。ところが、主に魚津市内で作られる「新川だいこん」は、「ひげ根」をほとんど伸ばさないため、表面のくぼみがなく、つるつるの白い根を真っすぐに伸ばします。まるで女性の肌のようにすべすべで、キメが細かいことから「美人だいこん」と呼ばれて親しまれています。
新川だいこんが美人肌に育つ理由は、その栽培方法にあります。肥料は土全体ではなく、根が伸びる先の深い部分にだけ施されるのです。そのために「ひげ根」が伸びず、真下にある肥料に向って真っすぐに成長します。1カ所から肥料を吸収するため、栄養がまんべんなくいきわたり、細胞の組織が均等になるため、キメがそろってくぼみのない、美しい大根に育つというわけです。

地球にやさしい農法

通常の大根栽培では、収量を増やすため1つの畝(うね)で2列を育てる「二条植え」ですが、新川だいこんは1つの畝とし、膝丈ほどある高い畝を作ります。高い畝を作って、その底の深い部分に肥料を施す独特の方法は、一条高畝深層施肥(いちじょうたかうねしんそうせひ)農法と呼ばれます。
この農法によって、風通しと水はけがよくなります。そのため、病害虫があまり発生せず、農薬が少なくて済みます。加えて、少ない肥料で効率的に栽培されるため土全体に肥料を混ぜ込む農法に比べて、土壌や河川への影響も少なくて済みます。減農薬・減肥料によって育てられる「新川だいこん」は、地球にやさしい野菜といえます。

秋から年末に県内外の市場へ出荷

新川だいこんは魚津市宮津、吉野、大海寺野地区をはじめとした丘陵地で栽培されており、栽培面積は約20ヘクタールです(平成30年実績)。地元の魚津をはじめ、富山、高岡のほか、岐阜県の市場へ出荷されます。
作付面積は平成24年が14ヘクタール、平成26年が16ヘクタール、平成30年が20ヘクタールと、年々拡大しています。新川だいこんは春夏と秋冬の年2回作られますが、全体の7割強は秋冬ものです。日に日に冬の足音が近づいてくる毎年10月から年末にかけての県内では、すべすべの白い肌を真っすぐに伸ばした、ひと際「美人」なだいこんが、食卓を賑わせます。

料理に最適な甘く瑞々しい味わい

新川だいこんは、くぼみや節がなくキメがそろっているため、調理する時に味が染み込みやすいと言われます。煮物をつくる時に下茹でをする必要がなく、しかも味が均等に染み渡ります。味わいは甘く瑞々しく、その特長は大根おろしにした時に際立ちます。新川だいこんの大根おろしをはじめて食べた人は、「こんな瑞々しい大根は、今まで食べたことがない」と驚くほどです。
市場に出荷されなかった規格外の大根は、地元の有志らによって加工され、商品化されています。農家の奥様たちがつくる魚津地場産直売倶楽部「おいで安」が商品開発を行った、「だいこんのビール漬」「大根寿司」「たくあん」などは県の「ふるさと認証食品」にも選ばれています。これらは地元の食料品店で販売されており、年末の食卓を彩る特産品になっています。

DATA

旬の時期

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主な生産地

  • 魚津市

【魚津市】新川大根出荷組合

新川だいこん

新川大根出荷組合では、「一条高畝深層施肥」という全国的にも珍しい方法で、肌のきめ細かい「美人大根」を栽培し、また組合員全員がエコファーマーとして環境に優しい農業を実践している。 将来の新川大根の担い手育成のため、栽培技術の継承に力を注いでいる。 また、消費者(生協組合員、量販店利用者・関係者など)へ特徴ある栽培方法やエコファーマーに基づいた生産方法などを理解してもらうため、毎年、現地視察を受け入れPRを図っている。

【高岡市】佐野つけもの教室(佐野地区健康づくり推進協議会)

佐野だいこん麹漬け

佐野地区は古くから野菜づくりが盛んで、中でも大根は柔らかくみずみずしく、消費者から高い評価を得ている。 佐野だいこん麹漬けは、この大根を原料として一度塩漬けしたあと、麹と砂糖を入れ本漬けして製品化されたもので、ほどよい甘さと大根独特の瑞々しさ、柔らかな歯ざわりが特徴である。 JA女性部、青年部が中心となって生産加工しており、高岡の特産加工品として名をはせている。研修会・教室を開催し、その技術を広く知らしめている。