富山の食材

ハトムギ[特産の匠]

氷見市細越地区がさきがけ

美容や健康に効果があるとして人気を集めている「ハトムギ」。県内では、氷見市が平成16年から本格的に生産をはじめ、現在は小矢部市、高岡市、南砺市、朝日町、入善町等で作付けされています。富山県全体の作付面積と生産量は平成28年度から3年連続で国内トップになっています。
県内のハトムギ栽培は、昭和60年代、氷見市の中山間部にある細越(ほそごえ)地区からはじまりました。米の減反に伴う転作が進められるなか、粘土質で水はけが悪いこの地区では麦や大豆が育たなかったことから、ハトムギの栽培がはじまりました。
それから30年近い歳月の間、「細越ハトムギ生産組合」は、ティーパック「はとむぎ茶」や煎餅「はとむぎの里」などを生産。平成20年からは、「ハトムギオーナー」制を導入し、全国からハトムギ畑のオーナーを募集するなど活発な取り組みが行われました。現在はハトムギ生産における県内の先進地としてその名が知られています。

ペットボトル茶でブレイク

ペットボトル飲料「氷見はとむぎ茶」の販売を機に、氷見産ハトムギの名はよく知られるようになりました。JA氷見市はハトムギを最重点作物として生産拡大することとし、加工、販売を含めた6次産業化を目指して、平成18年に「氷見はとむぎ茶」のペットボトルを販売しはじめました。「味わいは水に近くクセはないが、香ばしさがある」と人気を博し、発売当初は13万本の製造本数は、平成21年には150万本に急成長。それにともない、ハトムギの作付面積、収穫量は急拡大しました。「氷見はとむぎ茶」製造本数は、平成24年度で約200万本、他社ブランドでの製造本数を含めると約300万本となっています。
「氷見はとむぎ茶」の大ヒットは、氷見産ハトムギの知名度をアップさせ、他のハトムギ商品にも相乗効果をもたらしました。焙煎したはとむぎ粉に小麦粉と砂糖を混ぜ、サクッと焼いた「ハトムギ煎餅」、玄米と混ぜ美容と健康効果をうたった「ハトムギ入り玄米パン」ほか、和洋菓子やパン、コロッケ、麺類、ソフトクリーム等が販売され、現在も氷見市を中心に商品開発がさかんに行われています。

美容&健康ブームが追い風

ハトムギは栄養価が高く、たんぱく質、カルシウム、鉄、カリウム、ビタミンB1等の成分が豊富に含まれています。近年は、特殊焙煎技術の向上により、これらの薬効を向上させた高付加価値商品が開発されています。JA氷見市は、金沢大学と共同で、美肌などの効果を吸収しやすくなるよう特殊な処理を施して抽出したハトムギエキスを開発。これをもとに富山市の医薬品製造メーカー株式会社廣貫堂と連携し、栄養補助食品を発売し、話題となっています。JA全農とやまは、ハトムギエキスをコラーゲンとともに国産大豆の豆乳に配合した「はとむぎ豆乳」を発売。美容と健康をキーワードに、ほかにも様々な関連商品が研究されています。
古くからその薬効が注目されていたハトムギは、美容や健康を気づかう現代の世相と上手くマッチしていることから、今後のさらなる需要拡大が期待されます。富山の新たな特産品として、これから定着していきそうです。

JAいなばが全国1位のハトムギ産地に

平成28年産の産地単位別ハトムギ栽培面積及び生産量において、JAいなばが全国1位※となりました。
小矢部市及び高岡市福岡町を所管するJAいなばは、平成19年からハトムギの試験栽培を開始。当初、生産者3名、作付面積0.7haで始まったハトムギ生産でしたが、コメの転作作物として、また、健康志向の高まりによる需要増を受けて徐々に取り組みを拡大。平成28年には生産者28名、作付面積は218haに達し、全国1位のハトムギ産地となりました。全国トップのハトムギ培面積及び生産量を誇る富山県ですが、その約8割がJAいなば管内で生産されているのです。
JAいなばや小矢部市では、ハトムギのブランド化に向けて、「はとむぎ茶」や「焙煎はと麦珈琲」、「はと麦うどん」といった様々な商品を展開しており、今後も日本のハトムギ生産をリードする一大産地としての取り組みが期待されます。
※全国ハトムギ生産技術協議会調べ

江戸時代に大陸から伝来

ハトムギは、トウモロコシに近いイネ科の植物で1年草作物。原産地はインドネシア半島付近とされ、朝鮮半島を経て江戸時代に日本へ伝わったとされます。当時は主にお茶として飲まれていましたが、飢饉の時の非常用食糧として、また時には薬用として活用され、古くから、イボを取り、シミ、ソバカス、ニキビ、サメ肌などの肌荒れを改善する働きが知られていました。
■参考文献
氷見はとむぎ物語(発行:JA氷見市)
はとむぎオールインワンBOOK(発行:氷見市農業協同組合、高岡農林振興センター)
ホームページ「はとむぎ物語」http://www.ehatomugi.com/

DATA

主な生産地

  • 氷見市、小矢部市、高岡市、南砺市、朝日町、入善町

[特産の匠]和田 俊信(わだ としのぶ)

【小矢部市】ハトムギ

平成20年設立の「いなばハトムギ生産組合」初代組合長を務めており、新規栽培者の指導者として先導的な役割を担っている。関係機関と共同で試験ほ場を設け、条間や肥培管理等の試験を行いながら大型機械化体系を実用化し、単収向上の技術を構築した。このことが富山県をハトムギ生産量日本一の産地となるために大いに貢献した。また、市内の小学生に対しハトムギの播種体験や収穫体験の講師となってハトムギを広く紹介している。

[特産の匠]細越ハトムギ生産組合

【小矢部市】ハトムギ茶

標高約160mの仏生寺細越地区では、20年ほど前に米の生産調整の一環としてハトムギ生産を始め、中山間地域での栽培の安定化や作業の省力化を図りながら、質の良いハトムギの生産を研鑽するとともに、ハトムギ茶の加工に取り組んでいる。ハトムギ茶は、その素朴な味に加えて美容と健康にも良いとされ、高い評価を受けている。 こうしたハトムギ茶の需要拡大により、原料としてのハトムギ需要が増え、細越以外の地区でも生産が広がっているが、当組合は氷見市でのハトムギ生産の中心的な役割を担っている。