富山の食材

カンカン野菜

冬季限定の甘い野菜

富山のような雪国では、昔から、秋に収穫した大根やニンジンを冬のあいだ土の中に埋めておき、雪の下で越冬保存することがあります。野菜は、寒さで凍結するのを防ごうと、凍結防止成分である糖分を増加、蓄積するといわれており、翌春に土の中から掘り起されたそれらの野菜は、収穫時より甘さを増し、サラダに、煮物にと、おいしくいただけるというわけです。「とやまカン(寒)・カン(甘)野菜プロジェクト」は平成23年からスタート。
「とやまの寒は甘い!カンカン野菜 期間限定」というキャッチコピーと、愛らしい雪だるまをマスコットに、12月下旬より県内スーパーなどで販売される予定です。

特性を活かした16品目を指定

すべての野菜が、低温で甘みを増すわけではありません。「とやまカン(寒)・カン(甘)野菜」に位置づけられているのは、現在16品目。露地栽培では、キャベツ、にんじん、かぶ、だいこんの4品目。施設栽培では白ねぎ、なばな、いちご、プチヴェール、オータムポエム、子持ち高菜、寒締めほうれん草、寒締めこまつな、アスパラガス、レタスの10品目です。さらに収穫後、甘みを増やすためにあえて一定期間貯蔵するものとして、さつまいも、ヤーコンの2品目が加わります。低温下でゆっくり育てて甘さをじっくりと育むもの、生育期の後半に寒気にあてることで甘さを引き出すものなど、それぞれの野菜の特性を活かし「寒さ」で「甘さ」を増幅させているのが特長です。
 「寒」をキーワードとした野菜づくりで先行しているのが、「寒締(かんじ)めほうれん草」です。平成18年から栽培をはじめているJA高岡では、通常のほうれん草の糖度が4~5度であるのに対して、8度から10度近くまである寒締めほうれん草を生産しています。これはフルーツトマトに匹敵するほどの甘さです。ほうれん草は、寒気にあてると糖度だけでなく、ビタミンC、ビタミンE、βカロチンの濃度も上昇し、その一方で、過剰摂取すると問題とされる硝酸や、えぐ味のもととなるシュウ酸の含量が低下することもわかっています。寒締めほうれん草は「甘い」だけにとどまらない高付加価値野菜といえます。

「寒(カン)」がつく食材はおいしい

「とやまカン(寒)・カン(甘)野菜プロジェクト」がスタートした平成23年当初は、76戸・組織の生産者が計58トンを出荷。平成26年には86トン、平成30年には104トンを出荷するなど、順調に生産を拡大しており、更なる成長が期待されています。
冬の寒さでおいしさが増すのは、なにも野菜だけではありません。富山ならではの食材として知られている「寒ブリ」「寒ハギ」といった魚は、冬の寒さで身がしまり食感もよく、郷土を代表する食材として知られています。冬の寒さを味方につけて、今後は魚と野菜がタッグを組むなどして、「寒」をキーワードに連携した食材が、郷土の魅力を盛り上げる名物食材として認知が広まっていくことが期待されます。

「あぐリンク・とやま」で情報発信中

「とやまカン(寒)・カン(甘)野菜」には聞きなれない名前の野菜もありますが詳しい情報は、加工業務用を中心とした富山県産野菜・果実の情報サイト「あぐリンク・とやま」で見ることができます。栽培や出荷状況はもちろん、キャンペーンや販売プロモーション活動の様子、また、カンカン野菜の甘みをひき出す料理レシピなど、その特長や取り組みが紹介されています。野菜の生命力が生んだ冬季限定の甘さを、リアルな情報とともに味わって、冬をおいしく楽しみましょう。
■あぐリンク・とやま
http://ag-link.jp/

DATA

旬の時期

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  • 9
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  • 12

主な生産地

  • 県内全域