富山の食材
日本酒[ふるさと認証食品]
銘醸地に名水あり
酒づくりの世界には「銘醸地に名水あり」という言葉があります。日本酒の約8割は「水」で出来ていると言われており、よい酒はよい水があってこそ造られるというわけです。水は自然の恵みであり、その土地の環境や風土を如実に映し出しているものです。
富山県には、1年を通じて冷たい雪どけ水を供給する立山連峰があります。山々に降り積もった雪が、豊富な伏流水となって流れ下り、澄みきった清らかな水を大地に届けます。「名水百選」、「平成の名水百選」では、各4ヵ所が選ばれ、計8ヵ所の選定は熊本県と並んで全国最多です。各蔵ではこれらの良質の水を酒の仕込み水として使用するほか、洗米、浸漬、割水、さらには瓶やタンクの洗浄などにふんだんに使います。酒づくりと水は切っても切れない関係なのです。
銘醸地に名水あり。名水に恵まれた富山県では、清らかな水の恩恵を受けて、全国に誇れるおいしい酒づくりが行われています。
富山の酒は淡麗辛口
富山県にある平野の大部分は、河川によって形成された扇状地です。小石や砂で出来た砂礫層が積み重なっており、水はその中を潜り抜けることでカリウム、リン、マグネシウムなどのミネラルを吸収します。ミネラルは酵母の餌となり、酒のもととなるもろみは発酵が促進されます。そのため短い時間で、酸の多い辛口の酒になると言われます。
酒の味は、その土地の食文化とも関わりがあります。富山は新鮮な魚料理が自慢です。魚と相性が良いという意味で、切れのあるすっきりとした味わいが好まれるようです。 「淡麗」とは、日本酒のきき酒用語で「すっきりとしている」「軽快」などを意味します。富山の酒は「淡麗辛口」と表現されます。
撮影協力:小杉焼栄一窯(0766-55-2625)
※小杉焼栄一窯は、越中を代表する窯の一つで、長らく途絶えていた小杉焼を池上栄一氏が再び築窯したものです。マガモの姿形を模した鴨徳利などは、小杉焼の代表として全国にその名が知られています。伝統を守りつつ、現代的作風を生かした作品を創作しています。
酒づくりへのこだわりが生んだ酒造好適米
酒づくりのもうひとつの重要な要素は「米」です。米のなかでも、酒づくりに適した品種は酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)と呼ばれます。富山県の地酒は、酒造好適米の使用される割合が原料米の8割を超えており、全国平均の約2割をはるかに上回ります。酒づくりへのこだわりが表れていると言えそうです。
県内で使用される酒造好適米は、「五百万石」と「山田錦」が多くを占めています。いずれも県外で育成された品種ですが、県農業研究所においても、富山ならではの酒米として、平成11年には「雄山錦」、平成20年には「富の香(とみのかおり)」を育成しました。「富の香」は、県内の酒蔵や生産、流通関係者を交えたきき酒会でも、「仕込みやすい」、「味にふくらみとキレがある」など高い評価を得ています。
地元で開発・育成された酒造好適米と地元の名水で仕込まれた地酒が、酒の楽しみをより高めてくれます。
能登杜氏能登と越後杜氏
県内の酒蔵の大半は江戸から明治時代にかけて創業されました。
それぞれの蔵では、仕込みの季節になると酒づくりに取り組む蔵人(くらびと)が集まります。彼らを統括して、現場の責任者となるのが杜氏(とうじ)と呼ばれる職業です。富山の酒づくりは、コクのある味わいに特長のある能登杜氏と、すっきりした切れ味を出すのが得意と言われる越後杜氏が中心で、それぞれの蔵で杜氏の特長が発揮されています。
最近は、蔵の社長である蔵元が現場の責任者となり、従来の杜氏の役割を兼任する蔵が多くなっているようです。
DATA
お問い合わせ先
富山県酒造組合
富山県富山市丸の内2丁目2番10号
上撰 本醸造 銀盤
銀盤酒造(株)
黒部市荻生
純米酒 越中懐古
本江酒造(株)
魚津市本江新町
純米吟醸 おわらの里
純米吟醸 咲いた咲いた
玉旭酒造(有)
富山市八尾町東町
純米原酒 八王
福鶴酒造有限会社
富山市八尾町西町2352