富山の食材
ウマヅラハギ
市場価値が高まるウマヅラハギ
「蜃気楼の見える街」として知られる魚津市。その観測点の魚津港では、冬になるとウマヅラハギが大量に水揚げされます。
ウマヅラハギは、頭部が長く顔が馬面に似ていることから「馬面カワハギ」と呼ばれ、全身が10~30センチの長楕円形、北海道以南の日本各地で漁獲されます。
富山湾では12月~3月にかけてよく獲れ、全漁獲量の5割程度が魚津港で水揚げされます。ピークは1~2月の厳冬期。この頃になると、体長25センチ以上ある大物が網にかかります。
ウマヅラハギは全身がぶ厚い皮で覆われており、その皮を剥ぐと中から柔らかな白身が現れます。肉質はクセがなく淡泊。食感はプリプリとして、歯ごたえがあります。肝には濃厚な旨味があり、珍味として重宝されます。近年はフグに匹敵する味わいがあるとして、市場の評価が高まっています。
今は人気者、しかし昔は…
富山湾の漁師にとって、ウマヅラハギはちょっと厄介な魚です。全身を覆うぶ厚い皮の表面には、小さな棘のような鱗が無数にあります。これがヤスリのようにザラザラしているため、網の中で他の魚を傷つけるのです。また、頭部の棘のような背びれが1本突き出ており、これが他の魚や漁師の手に刺さってとても痛いのです。調理するにも、ぶ厚い皮を剥ぐのが手間という理由で、人気がありませんでした。このため1尾ではなく1箱単位で売られ、主に水産加工用に出荷されてきました。そのような不人気ぶりから、ネコも食べない「ネコまたぎ」と呼ばれていたエピソードもあります。
干し物などの加工品として、あるいはみそ汁や煮付けなどの家庭料理に使われることがほとんどでしたが、刺身で食べられるようになって、その価値が、見直されるようになりました。
漁獲後にすぐ血を抜く活け締め技術の向上により鮮度を保つことが容易になったことや、九州地方の養殖業者がその味わいを全国へ売り込んだことが、人気向上の背景にあります。東京都内の寿司店ではおいしい寿司ネタとして扱われるなど、最近はその価値が見直されています。
魚津寒ハギとしてデビュー
このような人気を追い風にして、魚津市ではウマヅラハギを地元のブランドにしようと取り組んでています。活動の拠点として、漁協、魚商の両組合と行政が「魚津おさかなブランド化協議会」を設立。ブランド化を進めるために、25cm以上の大型サイズのウマヅラハギを氷冷、活け〆脱血処理をしたものを「魚津寒ハギ・如月王(きさらぎおう)」と名づけて、高級プレミア商品としています。漁協や魚商は品質管理を徹底し、行政は関係機関と連携して新たな流通経路を開拓。魚津市内のお食事処では、魚津寒ハギを使った新メニューが開拓され、地元住民も魚津寒ハギの新しい魅力に触れています。また魚津漁協では、魚津寒ハギ如月王のPRキャラクターとして、 地元魚津の魚津城からイメージを得た、魚津寒ハギの妖精「魚津寒ハギさむらい 如月王たん」がイメージキャラクターとして誕生しており、冬場を中心として、様々なイベントで活躍しています。
これまで大量に漁獲されてきたにも関わらず、評価の低かったウマヅラハギ。ようやくおとづれた人気の波にのって、「魚津寒ハギさむらい 如月王たん」と共に、これからは2月の王=如月王という名の特産物として飛躍することが期待されます。魚津港の近くの海の駅「蜃気楼」で、ぜひ獲れたての魚津寒ハギをお求め下さい。
※詳しくはJF魚津HPへ(関連ページにリンク有)
いろいろな呼び方
ぶ厚い皮を剥いで調理する魚は、一般的に「カワハギ」と呼ばれます。菱形をしたカワハギも面長なウマヅラハギも、フグ目カワハギ科の魚を富山では一緒くたに「カワハギ」と呼ぶ傾向があります。
この「カワハギ」には様々な俗称があります。「バクチコキ」は、調理の際に皮を剥がされることが賭博に負けて身ぐるみはがされる姿に重なるためと言われます。また、黒っぽい体色や体型から「コウモリ」、皮を剥いだ身がつるつるなので「マルハゲ」、眼の上に1本の棘があることから「ツノギ」など、地域によって様々な俗称があります。それだけに、暮らしに身近な魚であることが伺われます。
DATA
旬の時期
- 1月
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
- 10
- 11
- 12
主な生産地
- 魚津市
お問い合わせ先
魚津寒ハギ如月王
魚津漁業協同組合
魚津市漁港定坊割